むし歯と細菌について
2013.03.05
むし歯はどのようにしてできるのでしょうか?
むし歯の原因菌といわれているのは、「ミュータンスレンサ球菌」という、多くの人の口腔内にいる細菌(口腔内常在菌)です。口の中にはその他にも、いろいろな種類の細菌がいますが、おもしろいことに、住みつく場所に特徴があり、たとえば唾液の中によくいるものと、舌に住みつくものとは種類が異なります。
このミュータンスレンサ球菌は歯にくっつきやすい特徴があり、感染して歯の表面(エナメル質)につく(定着)と、そこで食べ物の中の糖分、主に「ショ糖(砂糖)」を利用してネバネバして溶けにくい物質(不溶性グルカン)を合成します。このネバネバ物質が歯の表面にへばりついて、ミュータンスレンサ球菌だけでなく、さまざまな最近が集まった「すみか」を作り、そのなかでさらに細菌は増殖します。これが「プラーク」です。
すると、このプラーク中のいろいろな種類の細菌が、口に入ってくる食べ物のなかの糖分を分解・利用して酸をつくります。この酸は、プラークのなかでじわじわと、時間をかけて歯を溶かします。これがむし歯です。
むし歯ができる3つの要因
1つは「歯」です。
これには、細菌が付きやすい形(溝が深いなど)や酸に溶けやすい歯の質などが要因として考えられています。
2つめは「細菌」です。
ここでは、ミュータンスレンサ球菌がむし歯の原因菌として強く関わっています。少し詳しくみてみると、プラークはミュータンスレンサ球菌なしでは形成されません。しかし、いったんプラークが形成されると、そのなかの他の細菌も、歯を溶かす酸をつくります。
3つ目は「食べ物」です。
プラーク形成に不可欠な不溶性グルカン(ネバネバ物質)は、ショ糖を材料につくられ、他の糖類からは合成されません。ところが、歯を溶かす材料やエネルギー源としては、ショ糖以外の果糖やブドウ糖、でんぷんなども利用されます。
ここで説明した3つの要因は互いに関係しあっていて、3つが重なり合ったときにはじめて、むし歯ができます。しかし、重なり合うとすぐにむし歯になるのではなく、その状態が持続したときにできます。つまり、「時間」も関係しているのです。ですから、どれか1つの要因がなくなれば、あるいはもし重なったとしてもその重なりを早く取り除けば、むし歯にはならないと考えることできます。
むし歯にならないためには
むし歯の原因因子を考えると、
第1番目は「歯」の形態や質です。
フッ化物を利用したり(フッ化物の塗布、フッ化物洗口、フッ化物入りの歯みがき粉の利用など)、シーラントをするなど、です。
第2番目の因子は「細菌」です。
最近の見解として、口腔内の細菌はまわりの生活者から伝播するといわれています。しかしプラークコントロール(歯垢除去)することで予防は可能です。
第3番目の因子は「食べ物」です。
この因子の予防については、シュガーコントロールとして、キシリトールが利用されたりしています。
第4番目の因子は「時間」です。
むし歯は1~3番目までの因子が重なり合い、長い時間そのままの状態が続くと発生します。予防するには、だらだらと食べたり、ペットボトルのジュースやスポーツ飲料を長い時間、何回も口にする週間をやめるように気をつければ、悪い影響は防ぐことができます。また、一日の間で歯みがきをしっかり行えば、むし歯が出来やすい環境を改善することができます。