口腔乾燥症とは?
2013.09.10
口腔乾燥症(こうくうかんそうしょう、英:Xerostomia)とは、唾液の分泌低下や過剰な口腔粘膜水分の蒸散によって口腔内が過度に乾燥する状態を指します。ドライマウスとも呼ばれています。日本における罹患者は800万人程度と推定されています。
口腔が乾燥すると…
最大の症状は、唾液の分泌低下です。
それに伴い、軽度であれば口腔内のネバネバ、ヒリヒリといった不快感や、自浄作用の低下により う蝕、舌苔、口臭、歯周病が発生しやすくなります。重度の場合、舌痛症や摂食・嚥下障害(食事がしにくい)、構音障害(会話がしにくくなる)、重度の口臭やう蝕、歯周病などが見られます。舌表面がひび割れて、痛くなることもあります。
おもな原因は…
唾液の分泌低下には様々な原因が存在し、直接的・間接的なものを含めると、加齢、ストレス、唾液腺障害、食習慣、喫煙、薬物などがあげられます。また、シェーグレン症候群といった疾患の症状の一つでもあります。
・加齢・病気による口腔機能の低下、廃用性萎縮
・服用している薬による副作用(高血圧の薬、睡眠薬、抗うつ剤 などによる)
・口呼吸(頭部後屈などによる常時開口、鼻炎、アデノイド などによる)
・義歯が合っていない
・ストレス、寝不足
・嗜好品の過剰摂取(コーヒー・紅茶・緑茶に含まれるカフェインやたばこは、粘膜に対する刺激となります。またニコチン・カフェインは高い利尿作用があり、一時的に脱水を起こし唾液分泌が抑制されます。)
・摂取水分量の不足(成人の場合1日あたり体重の1/20の水分摂取が必要とされています。たとえば体重50kgの人では1日に2.5Lの水が必要ということです。食事などで自然に摂れる水分量は1.5Lといわれているので、残りの1Lは食間に摂らなければならない計算になります。)
・不十分な咀嚼回数(咀嚼回数の減少は、唾液腺の萎縮と唾液分泌の低下をもたらすことが知られています。これは食生活のあり方にも関連しています。たとえば幼児期にあまり咀嚼しなくても食べられる食物を中心とした食生活を続けていると良い咀嚼習慣が身につかず、結果的に唾液分泌低下を引き起こすことがあります。軟食や流動食を多く摂っている場合や、早食いになっている場合にも注意する必要があり、このような習慣は成人してからでなく、小さい頃から習慣づけることが大切です。)など
口腔乾燥症のセルフチェック
口の中は、唾液によって常に湿った状態になるのが普通です。しかし何らかの原因によって唾液の働きが損なわれると、いろいろな不都合が生じます。次のような症状がある場合には、要注意と考えてください。
3個以上の該当項目があれば口腔乾燥症の可能性が高いといえます。
1.口が渇く(唾液が出ない)
2.口が渇いて話がしにくい
3.食事の時に飲み物が必要である
4.夜間、飲水のために起きる
5.舌がひび割れる
6.味覚が変わった
7.口角炎をおこしやすい
8.口臭が気になる
9.虫歯がたくさんある
その治療と対策は…
その原因により対処法は異なりますが、「唾液分泌をよくする」「口腔内を保湿する」の2つがポイントといえます。
含嗽剤、トローチ、口腔用軟膏、人工唾液、内服薬等がよく用いられています。また、唾液分泌を良くするため、よく噛むこと、すっぱいものを食べること、唾液腺マッサージなども効果があります。
なお、全身疾患や薬が原因と思われる場合は、かかりつけの医院で相談しましょう。