噛む事で健康生き生き!
2013.05.08
みなさんは、最近口が渇く、肉よりも和食を好むなどのようなことはありませんか?
加齢とともに唾液や胃酸の分泌は驚くほど減少します。唾液は若い時を100とすると60歳ではわずか1/20しか出なくなります。その上最近の子供は、噛む事も減り食べるものも軟らかくなり、その結果唾液の分泌量は減少しています。1.6才児健診で、20年前には当たり前だったよだれ掛けが今はまったく見られなくなっています。この子ども達が年取った時が危ぶまれます。
胃酸の分泌も、若い時を100としたとき60歳では17%と減ってきます。若い時毎日のように食べられた焼肉が、年とともに胃にもたれ、和食を選びがちになるのはなるのは自然のなりゆきなのです。
唾液には、私達が健康を維持していく上で様々な効用があります。
消化・吸収を助けることは言わずもがなですが、虫歯や歯周病や舌痛症の予防、食べ物の中の有害物質の希釈・無害化、さらにはがん予防等の働きもあります。唾液から出る免疫グロブリン(IgA)は、がん予防にも有効なのです。昔から“口は浄化器”とも言われるように、よく噛んで、しっかり唾液がでるようにすれば健康の維持・増進も図れるというわけです。
加齢とともに人の身体の様々な機能が衰えるのはやむをえないことですが、運動で筋肉等の身体能力が保てることは常識です。口腔内の機能も、使うことでその衰えを代償することができます。 例えば、最近の食事は軟らかいものが多く、噛む回数はどんどん減ってきています。あるファーストフード店での調査では、ハンバーガーを一口かじって飲み込むまでにわずか2,3回しか噛まない若者が多いそうです。よく噛む、よく話す、よく笑う等の口の働きで唾液が多く分泌され、その刺激で脳から信号が出て胃酸の分泌が促され、消化吸収が助けられ、腸の働きも動きも良くなって便通もよくなります。またそうすることで、顔の表情筋も活性化されいつまでも若々しい顔が保てるのです。
最近、アンチエイジング(抗加齢)学会ができて抗加齢医療が話題となっています。歯科でも、衰える様々な機能を検査・診断し、機能回復と増進をして口の中だけでなく全身の健康をも保つ試みがされるようになっています。
加齢とともに低下する消化吸収能
- 唾液分泌能
- 胃酸分泌能
- リパーゼ(膵液)分泌能
- 等質の吸収能(65歳以上)
- 脂質の吸収能(70歳以上)
- 大腸のせん動運動
年齢と胃酸分泌能
- 50歳代 25%
- 60歳代 17%
- 70歳代 13%
- 80歳代 5%
(若い時を100とした時)
年齢と安静時唾液量
- 6~10歳 0.583ml
- 60歳代 0.034ml
(若い時を100とした時)
唾液の働きと組成との関係
- 消化作用(唾液アミラーゼ)
- 咀嚼の補助道具(食べ物の咀嚼と嚥下を助ける)
- 溶媒作用(味覚を助ける)
- 談話および発生の円滑作用(口唇・粘膜・軟口蓋の湿潤)
- 洗浄作用(食物残渣の貯留を防ぐ自浄作用)
- PH緩衝作用(口腔内を生理的にPHに保つ)
- 歯および粘膜の保護作用(虫歯、歯周病、口腔乾燥症の予防)
- 抗菌作用(リゾチームなどで口腔最近叢をコントロールする)
- 排他作用(有害物質を希釈、無害化する)
- 内分泌作用(免疫グロブリン分泌)
よく噛むといいことは?
- 消化がよくなる
- ガンの予防になる
- ボケの防止になる
- 寝たきりの防止になる
- 虫歯・歯周病の予防になる
- 口臭の予防になる
- 口内炎の予防になる